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落葉松の林の中で

あ、あ、あ、あと数十分で今年度も終わってしまう・・・何かブログに入れなきゃ!
そういう時の為にひとつ原稿が用意してあったのを思い出しました。
ちょっと時期はズレますが投稿します。

宗先生が指導している横浜市の男声合唱団『メールクワイアAOBA』の会報に寄せた文章です。


『落葉松の林の中で』
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 毎年、晩秋になると思い出す情景があります。大学生の時、それまで家族旅行しか経験したことの無かった私が、初めて友人と二人で木曽路を歩いた時のことでした。
 
 「木曽路はすべて山の中である。」
 有名な藤村の『夜明け前』の名文に誘われて、私たちは夜行列車で中津川駅に降り立ち、木曽十一宿を南からたどり始めました。四泊五日を二人だけで旅する緊張感、山一面の紅葉、急峻な木曽川の流れ、宿場町の古風なたたずまい、江戸の昔からたくさんの人が行き来したであろう石畳の道・・・どれをとっても新鮮な体験で、いつに無く心が躍っていたことを覚えています。
 
 馬篭宿、妻籠宿を過ぎて木曽路のほぼ中間に位置する木曽福島へ、そして私たちは、ここからいったん木曽路を離れて、開田高原に入る計画を立てていました。開田高原は、木曽御岳の麓に広がる標高約1500メートルの高原です。学生の身では民宿に泊まるのがせいぜいでしたが、それでも澄んだ空気はおいしく、出された食事も心のこもった物ばかりで、素晴らしい夜を過ごしました。
 
 そして翌朝、林の小径を散策しながら、私たちは将来の夢やあこがれを語り合いました。彼女は子どもたちに音楽の楽しさを教えたいと、そして私は声楽家として舞台に立ちたいと。あたり一面の静寂の中に、私たちの笑い声と、踏み砕く霜柱のギシギシという音だけが響き渡ります。

 そんな時、ピーンと張った冷たい空気を揺るがすように、さわやかな風が吹いて来ました。何気なく立ち止まって空を見上げると・・・何と空から金色の雨が降って来たのです。
 「あ、落葉松だ!」
 落葉松の葉は、朝の太陽を反射させて金色に光りながら、私たちの上に降り注いで来ました。まるで私たちの未来を祝福するように。

 あの、言葉も忘れて落葉松の雨に打たれ続けていた晩秋の日の思い出は、お互いに夢をかなえて長年の人生を歩んできた今も、大切な宝物です。

 昨年の秋、メールクワイアAOBAの第4回定期演奏会で小林秀雄先生作曲の『落葉松』を歌わせていただきました、しかもダンディーなオジサマ方の男声合唱と一緒に。その時の私の気持ちはお分かりいただけるでしょうか?歌いながら、あの落葉松の林の中の情景と、いままで音楽家としてまっすぐに突き進んで来た様々なシーンとが去来し、何とも言えない幸福感を味わっていました。

 この機会を与えて下さったAOBAの皆様、宗先生に心から感謝しています。
 メールクワイアAOBAのこれからの音楽活動にも金色の雨が降りますように。

以上ですが、あの~、みなさん『カラマツ』って読めてますよね?ラクヨウマツでは歌った時に字余りになってしまいますから。





# by izumihitori | 2013-03-31 23:58 | ひとりごと

感謝のひととき

去る12月18日(火)、第28回クリスマス・ホーム・コンサートが無事終了しました。
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今年は1月に宗先生が入院、IZUMIさんは7月に大手術、と色々あり、二人とも健康面に細心の注意を払いながらのステージでしたが、皆さんの温かい拍手と眼差しに励まされながら、楽しく歌い終えることが出来ました。私たちが大声を出すたびにハラハラドキドキしてくださった皆さん、ありがとうございました。
まだステージ写真が届いていませんが、冬休みの間ヒマを持て余している方の為に、楽屋で撮った秘蔵写真を公開します!

第1部。
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心なしか、顔がキンチョウで引きつっているような・・・。

第2部。
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少し余裕の表情。

第3部。・・・第2部の終わった後に舞台袖で早着替え(多分、1、2分くらいで)をして慌てて舞台に飛び出したので、第3部の気取った写真はありません。
が、代わりにお客様の一人、Sさんが携帯で撮って下さった写真をお届けしましょう。
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そしてアンコールは、ここ数年封印していた『魔笛』の“パパパの二重唱”、これはTさんの、やはり携帯から。
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え?なぜ“封印”かって?・・・そりゃあ、宗先生の必死な表情を見ればわかるでしょう??今回封印は解いたものの、またしばらくは封印が続きそうです・・・目指せ、マイナス○○キロ!

12月中旬にしては好天に恵まれ、演奏も企画もそしてドレスもなかなか評判が良かったのでホッとしました。心臓の開胸手術から5カ月、このコンサートの開催に向けてコンディションを整えて来ましたので、これで気持ち良く年が越せそうです・・・あ、いやあ、大掃除は暖かくなってからしようっと。
ともかく、聴きに来て下さったすべての方々に、この時を与えてくださった神様に感謝します!

あ、タイトルの「感謝のひととき」って、間違えでした。歌とトークで2時間余り、「感謝のふたとき」でした!
# by izumihitori | 2012-12-22 22:04 | コンサート

コンサートのお知らせ

 あれよあれよと言う間に、12月も中旬に入ってしまいました。
もうすでにご存じの方も多いと思いますが、コンサートのお知らせをいたしましょう。

 来る12月18日(火)、『宗孝夫&吉村泉 クリスマス・ホーム・コンサート』が開催されます!!
コンサートのお知らせ_e0210473_13253575.jpg
クラシック音楽を気軽に楽しんで欲しい、身近に感じて欲しい、と始めたこのコンサートも、今年で28回目を迎えることとなりました。
28年の間に演奏した曲は200曲以上、宗家の作詞や訳詞、オリジナルの編曲作品も数知れず・・・(宗先生がBBSに入れていますのでこちらもご覧下さい。私のとは違って格調高い文章ですヨ)・・・その幅広いレパートリー中から今年はスペインの歌曲やオペラを中心にお届けしたいと思います。
060.gif「瞬く星目指して旅を続け、ひとは出会いと別れを繰り返す」(宗孝夫作詞『木星』より)
今年お会いした方々、またご無沙汰してしまっている方々、はたまた宗家とは何のゆかりが無くても音楽のお好きな方々、はたまたまたクリスマス前にどこにも行くところの無い方々、華やかなイルミネーションで賑わう新百合でしっとりと音楽を・・・皆様、どうぞお出かけください。

 まあ、プログラムの中には何曲かは過去に歌った曲もあるのですが・・・じゃあ、暗譜がその分少なくて済む、とお思いでしょう?
とんでもございません、毎年楽譜とは出会いと別れを繰り返しているのですから、また一から出直しです。
# by izumihitori | 2012-12-09 14:02 | コンサート

 光陰矢の如し・・・
 正式な写真が届くまでに皆さんの脳裏からコンサートの記憶が去ってしまうといけないので、記録として残しておきます。

 10月23日(火)青葉台フィリアホールにて『メールクワイアAOBA 創立10周年記念 第4回定期演奏会』が開かれました。賛助出演は麻生女声合唱団。
指揮:宗孝夫先生、ピアノ伴奏:田中玉美先生、熊本智子先生、ゲスト出演はメゾ・ソプラノのIZUMIさん。

 第1部は男声合唱団「メールクワイアAOBA」さんのステージ。
チョー満員の客席の2階から、気の弱い(!)ZUMIさんがコソコソとI撮った写真です。お客様に「そこのオバさん、コンサートは撮影禁止ですよ!」、な~んて注意されたら「え?私、舞台メイクしてるのにフツーのオバさんにしか見えない?」って落ち込んじゃいますから、それはもう、ひっそりと。
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AOBAさんはいつもながら、素晴らしい音色!その声が作り上げる、年齢を感じさせない(?これ、褒めてナイ?)みずみずしく優しいハーモニーはAOBAさんの魅力の一つです。

 そして第2部。「麻生女声合唱団」がタンゴを4曲ご披露しました。
引き続きAOBAさんも加わって混声合唱で“紅葉”と“ふるさと”を演奏。譜めくりをしていたフツーのオバさんがやおら立ち上がってソロ部分を歌い出す・・・そんなサプライズを用意しましたが、皆さん、驚きました?
本番の写真がまだ出来てこないので、1週間前のゲネプロの時に撮ったものをどうぞ。
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この時には、まさか私が途中から参加するなどとは夢にも思わず、のんびり客席でカメラを構えていたんですが・・・。
郷に入っては郷に従ってみました。

 出番を終えた麻生女声の皆さんと。明るく楽しそうなステージでしたよ!
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 そして第3部、男声合唱が3曲続いた後に宗先生のソロ入りの“からたちの花”(指揮はIZUMIさん)、そして・・・
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早変わりでドレスアップしたIZUMIさんのソロ+男声合唱の“落葉松”の演奏でした。
いやあ、素敵なおじさま方を従えて歌う気分は、格別でした!AOBAの皆さん、ありがとうございました。

 少年老い易く学成り難し・・・なのにAOBAの皆さんがほとんどの曲を暗譜で歌われたのには脱帽です!
後悔先に立たず・・・だって、皆さん、相当練習しましたもの、持てる力を存分に発揮できたことでしょう。
巧言令色少なし仁・・・いえいえ、今日私が褒めたのは、本心からの感想です!
出演者の皆様、宗先生、田中」さん、熊本さん、お疲れさまでした。
# by izumihitori | 2012-10-28 14:58 | コンサート

我が家の山椒物語

 ふっふっふ、いよいよその真価を発揮する時がやって来ました。
 ジャーン!
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どうです、この特大のうなぎ!さ、これに我が家特製の粉山椒をパラパラッと振りかけて・・・
あたり一面に広がるい~~い香り!!うなぎの味も一段と引き立ちます。山椒よ、ありがとう!
 そう、市販の粉山椒に比べれば月とすっぽん、インスタントコーヒーと挽きたて焙煎コーヒーって感じ(ああ、私も「違いの分かるオトナ」になったなぁ~)。

 実は我が家の山椒の木には秘められたお話があるのです。
 かれこれ二十数年前、引っ越したばかりの我が家の庭に山椒が芽を出しました。多分ここを宅地にする前に自生していたヤマ山椒だろうとのこと。日当たりのいい場所に移し替え、大事に大事に育て上げ・・と言いたいところですが何もしないのに勝手に大木に生長しました。
 葉や実はちょこちょこっとお料理に使ってはいたものの、たいして有り難みも感じず、枝を切ったり近くを通るたびにトゲをひっかけ痛い思いをしては、むしろ邪魔者扱い。

 そんな山椒も今年は特にたくさんの実を付けました。
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かわいいヤツでしょ?近年、山菜やキノコ、木の実などに興味が出ている宗家のIZUMIさん、やっと我が家の山椒にも目覚め、
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今年は気張ってザルに8杯もの実を収穫し、佃煮やじゃこ煮を作りました。
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葉っぱももちろん佃煮に。

 ところが「来年も楽しませておくれ!」と思っていた矢先の7月半ば、私の入院中に強風で山椒が根元から倒れてしまったのです!根の半分以上は地面から浮き出し、ほんの少しの根だけで立っている状態だと宗先生から聞きました。
 さあ大変!病院から携帯で植木屋さんに助けを求め・・・でも、ちょうど忙しい時期らしく、いつまで待っても植木屋さんは来てくれません。退院してからも数日、日に日に枯れていく山椒を見ながら、どんなにさびしい思いをしたことでしょう。
 すんでのところで間に合って、一命を取り留めた山椒・・・その木に残っていた赤い実から作ったのがこの粉山椒です。
 ね、それ聞くと、余計美味しく感じるでしょう?

 ところで、緑の粉山椒は春に採った実から作ると聞き、冷凍してあった緑の実を取り出してみました。
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するとビックリ!1日経ったらやっぱり同じように中から種が飛び出してきました。
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ああ、20年以上も、あなたはこうやって生きていたのね・・・

 はい、これが我が家の山椒物語です。思わず熱く語って、長くなってしまいましたね、ご清聴ありがとうございました。
 実は、我が家の山椒が美味しく感じる訳がもう一つあるのです。
 それは・・・植木屋さんに補強を頼んだら1万4000円もかかったからデス!!
# by izumihitori | 2012-10-11 23:40 | ひとりごと